ケヤキ
Japanese Zelkova
ニレ科の落葉高木
本州、四国、九州、韓国、台湾、中国に分布。
別名 ツキ(槻)とも呼ぶ。
扇形に枝葉を伸ばし、高さ50Mほどに成長する。
鱗状の樹皮も特徴。
色味 | 芯材は黄~紅褐色、辺材は淡黄褐色 |
木目 | 粗めではっきりした木目 玉杢、如輪杢などの美しい杢目を形成する |
乾燥 | ねじれや反りの強い性質、丁寧な乾燥が必要 |
加工性 | 重硬で加工はしにくいが、強靭で狂いが少ない |
塗装 | 木目を生かした漆塗などが代表的 |
ケヤキは日本の広葉樹の代表的存在です。
北海道を除いて全国的に自生し、山林だけでなく、神社や公園、街路樹にもよく見られ、社寺建築や住宅、漆器や家具などにも広く使用されています。
寿命の長い木で、各地に巨樹として祀られたケヤキが残されています。
身近に感じるケヤキですが、建築用材として日本で使われた歴史は、スギやヒノキに比べて意外に短いのです。
本格的に建築用材として使用されたのは、安土桃山時代に入ってからのようです。
大阪城をはじめとした大規模な城郭建築がこの時代に始まり、硬いケヤキの使用は敵の攻撃に対して効果的でした。また、はっきりとし木目や堅牢さは武士好みでした。
江戸時代になると床の間の一枚板や武家屋敷の大黒柱や横架材として使用した例が多くあり、権威の象徴とされていました。(「本の原点シリーズ 木の文化4 欅」参照)
大阪岸和田の有名なだんじり祭などの山車屋台の彫刻にもケヤキを使ったものが多いのも、ケヤキの持つ力強さや荘厳さゆえかもしれません。
江戸時代から350年続き、「人生の約束」という映画の題材にもなった富山県射水市の「曳山まつり」の山車にもケヤキ材が使われています。
また、建築用材としてのケヤキは樹齢によって用途が変わります。
60~100年の比較的若い木は建物の骨組みである柱、梁などに適しています。
樹齢が100年以上の大木は、床板や玄関式台、框など大きな面使う材となります。
それ以上の年数や、玉杢、如輪杢など成長の過程で偶然生まれた稀少な杢目を持つ材は、建具や工芸品の材料として価値が高まります。
松田木材の先代は、とてもケヤキが好きでした。
良い木が出たと情報をもらうと場所や昼夜を問わず、出かけて行くこともよくありました。
車で走っていて、大きなケヤキを見かけると、ちょっと見ていこうと言って、一般のお宅でも声をかけて、木を見せてもらっていました。
富山県富山市水橋にある神社の樹齢400年以上のケヤキの大木が台風の被害にあった時も、伐採に駆け付けました。